食物アレルギーのIgG検査は、百害あって一利なし。

6月16日、読売テレビの「ザ・世界仰天ニュース」で
激しい咳、倦怠感、血便、脱毛に悩まされているプロゴルファーの話が取り上げられ、
「遅発性アレルギー、IgG抗体検査」
の話がありました。

食物アレルギーのよくあるパターンは、食べてすぐ症状が出る
「即時型アレルギー」
で、
検査では「IgE抗体検査」の数値が上昇します。

時々、食後数時間から48時間以内にかゆくなる
「遅延型アレルギー」
というタイプもあります。

医学生の頃に勉強した知識では
遅延型アレルギーはIgGではなくリンパ球の反応だった記憶があり
調べてみました。

その結果、遅延型アレルギーでは、
IgEでも少し遅れて症状が出ることがあること
IgEが上昇せず、リンパ球が反応する「Ⅳ型アレルギー」で症状が出ることもあり
Ⅳ型アレルギーの場合は、
「皮膚パッチテスト」
研究的な検査として「アレルゲン特異的リンパ球刺激試験」
があるものの、
「IgE抗体検査」のように結果がはっきりわかるものではない
ことがわかりました。

また、
例の「IgG抗体」ですが、
アメリカ、ヨーロッパのアレルギー学会
日本アレルギー学会
日本小児アレルギー学会
では、
食物アレルギーの診断にIgG抗体検査の有用性はないとされています。

つまり
IgG抗体を調べても、
食物アレルギーの診断には意味がない。

ということですね。

ネットで
「遅延型アレルギー」「IgG」
を検索すると
たくさんのサイトがヒットします。

なかには、クリニックで
わざわざアメリカまで血液を送ってIgG抗体を診断!
診断料は保険適応外で3~4万円!
と謳っているサイトもありますが、、

皆さん、IgG検査には引っかからないようにご注意くださいね。

参考サイト
日本アレルギー学会
日本小児アレルギー学会



アトピーの新しい治療薬、開発中

皮膚をバリアーし保護するタンパク質「フィラグリン」の働きを強める化合物を京都大学のチームが発見、この物質を使ってマウスのアトピー性皮膚炎の症状を改善させることに成功し、9月16日付の米科学誌電子版に発表した。10年後をめどに実用化を目指す。


アトピー性皮膚炎の皮膚では、フィラグリンが減少していて、皮膚の保護機能が低下することでアレルゲンの影響を受けやすくなり、炎症が起こりやすくなっています。


今回の京大の研究で、フィラグリンを増やして皮膚の防御力を高める物質が見つかり、アトピーの再発防止、発症予防に期待が持てるようになると思います。


但し、一旦起こってしまった炎症をよくするためには、ステロイド外用剤、プロトピック軟膏も合わせて使っていく必要があるでしょう。


今回の「新しいアトピー治療薬」が、ステロイドやプロトピックのように、アトピービジネスがらみの風評被害に遭わないよう、切に願っています。

プロトピック軟膏とタクロリムス軟膏の違い

プロトピック軟膏。

まつもとクリニックでも
アトピー治療の両輪としてステロイド外用剤とあわせて使っている薬ですが、
ジェネリックとしてタクロリムス軟膏も発売されています。

皮膚科の雑誌に
「タクロリムス軟膏だと刺激感を強く感じる患者さんがいる」
という投稿が載っていました。

私も、
他院でタクロリムスを処方され
ひりひりしてうまく使えなかった患者さんを診察したことがあります。
その患者さんには、1週間ステロイド軟膏を外用し
改善後にプロトピックに変更することで
うまく切り替えることができました。

プロトピックでは、
軟膏の成分に炭酸プロピレンが使われていて
薬効成分を溶かすのに役立っているが、
他のタクロリムス軟膏には
炭酸プロピレンが使われていない。

この違いで
薬の成分である「タクロリムス」は同じでも
刺激感という副作用が出やすくなる現象が
起こっているのではないかと考えられています。

タクロリムス軟膏を処方するのなら
十分炎症がコントロールできているのを
確認してからにするべきです。

「ジェネリックはどれも先発品と同じ効能効果」
と言い切る医師、薬剤師がいるなら、
その人は勉強不足と言われても仕方がありません。


プロフィール

ドクター松本

Author:ドクター松本
2009年9月、京都市左京区聖護院(平安神宮北側)に、内科・アレルギー科のクリニックを開院しました。高雄病院で10年間研鑽したアトピー治療のスキルを生かして、アレルギーの診療に日々奮闘中です。

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